医師の皆様へ

2本の柱「外来診療」と「在宅医療」

当法人では、あらゆる年代・ライフステージの方々に対して、外来から在宅までシームレスに対応しています。「外来診療」と「在宅医療」の両輪があることで、一人一人の患者さんに継続的に関わることができ、人生に伴走する医療の実現を目指しています。

例えば、外来に通院する患者さんが高齢で通院が困難になった場合、在宅でも診療を続けていくことができます。外来通院する患者さんのご家族を在宅で診療することも多く、外来に通院する患者さん・在宅医療を受ける患者さん、ご家族双方の生活状況が見えることで、患者さんに合った治療の手がかりをより多く得ることができます。在宅医療で培った、患者さんの生活や背景をみる視点を外来診療に活かすことで、より深く多面的な診療経験を積むことができます。「外来診療」と「在宅医療」〜この二つのフィールドを求めて、明医研には多くの医師が集まっています。

「外来診療」では、小さなお子さんからご高齢の方まで、感冒等の急性疾患から、高血圧・糖尿病などの慢性疾患、健診異常や心身の不調など、健康についてのあらゆる問題を抱えた地域の様々な患者さんが来院します。病気の診療だけでなく、健診・予防接種などの予防医療にも力を入れており、外来診療を行う中で、昨今重要性が叫ばれている、かかりつけ医としての診療・対応能力の体得が可能です。外来部門のスタッフとの連携もスムーズで、先生方が診療に集中できる環境整備を行なっています。

「在宅医療」では、フレイルや認知症、多併存疾患等の高齢者だけでなく、がん終末期、神経難病、医療的ケア児など、地域で在宅医療を必要とされている患者さんに対し、多くの医療・介護スタッフ、医療機関と連携しながら診療を行なっています。在宅医療のニーズは年々増加傾向にあり、これからの時代にますます必要とされる在宅での医療を一から学ぶことができるほか、在宅医療で必要とされる、中心静脈栄養管理、気管カニューレ管理、人工呼吸器管理、褥瘡治療、胃ろう管理など、様々な医療行為や手技の習得機会が多くあります。

クリニック紹介

当法人は、さいたま市内で2つのクリニックを運営しています。それぞれのクリニックには独自の特徴があり、地域のニーズに応じた医療を提供しています。両クリニックの院長から、それぞれのクリニックの特徴についてご紹介いたします。

各院長のメッセージを通じて、当院の医療や取り組みについてさらに詳しく知っていただければ幸いです。

ハーモニークリニック紹介

ハーモニークリニック
中井秀一院長

医療法人明医研ハーモニークリニックは1995年8月に、当時浦和市立病院(現さいたま市立病院)の病診連携の推進役を担っていた中根晴幸により開設されました。当法人は、「Warm & Reliable」を理念に、礼節を大切に患者さんに真摯に温かく接し、質の高い信頼にかなう医療ができるよう努めております。開業25周年の2020年に院長が交代となりました。

さいたま市近郊の方々の健康と生活を守りつづける総合診療・家庭医的な役割を担うクリニックとして、「外来診療と在宅医療」のどちらも大切にし、「チームで行う診療所」というのが最大の特徴です。総合診療科、家庭医療科、内科各科の常勤医師を中心に、専門性を持った非常勤医師、看護師、臨床検査技師、放射線技師、医療秘書科、医事科など多職種のスタッフがチームを組み、院内の検査機器も充実しており、年齢や疾患の枠にとらわれない総合的な医療を提供しています。

ご家族の利用も多く、地域のかかりつけ医として、生活や家族状況を大事にしながら、患者さんの疾病の診断、治療、予防医療など実践しています。病気が生活に及ぼす影響や、どんな治療を良しとするかという価値観はそれぞれ異なります。患者中心の医療を行い、患者さんが健康で幸せであることを大切に考えています。

グループ診療のメリット、デメリットが言われますが、当院は主治医としての責任、やりがいも持てるようにしつつ、自分が不在時や、チームで協働した方が効果的なケースなどでは、みんなで対応できるように情報共有を行い、幅広い対応が可能です。休日夜間の在宅対応も無理なく行え、働く者の生活も大切に考えています。

診療は、「標準的あるいはそれ以上」の提供を常に心掛けております。自身の専門診療科に関係なく、先生方が相互に学びあう環境の診療所なので、レベルアップしながら過ごせます。昔からそのような環境なので、相互連携、相談の雰囲気もとてもよいです。

専門的な診療が必要な場合に、院内の先生方との相談で解決することも多いですが、地域の多くの医療機関、多職種との連携による問題解決も日常的に行われています。

当院の2階に併設する、訪問看護、訪問介護、定期巡回型訪問介護ステーションとも密に連携しています。近隣の薬局が参加するカンファランスや、デュエット内科の医師との勉強会、リハビリスタッフとのカンファランスなど、連携、学びの場は多いです。

将来安心して過ごせる地域医療のためには、医療従事者の教育も重要と考えています。当院で院内スタッフの向上はもちろん、外部の医学部生、看護学部生、初期研修医、後期研修医、見学なども積極的に受け入れいています。教えることは、自分自身も大きな学びになります。

総合診療研修、家庭医療後期研修を修了した後の場として、専門診療を活かしながら新たに地域医療、総合診療を実践する場としてなど、ご興味のある先生方のご連絡をお待ちしております。

デュエット内科クリニック紹介

デュエット内科クリニック
木村淑子院長

デュエット内科クリニックは、さいたま市南部の発展著しい武蔵浦和駅近くの住宅街に位置しています。開業以来20有余年にわたり、総合診療と在宅医療を2本の柱として診療を行っています。診療内容は予防接種や健康診断、高血圧・糖尿病といった生活習慣病の管理、貧血・骨粗鬆症など身近な疾患の治療、新型コロナ感染症を含む発熱外来など多岐にわたります。診断レベル向上のため、各種迅速検査に加え、CT、腹部エコー、心電図、胃カメラといった設備も完備しています。さらに、病状に応じて他のクリニックや病院への紹介を行い、地域連携の強化にも力を入れています。

また、通院が困難になった場合やがんの末期には訪問診療の体制も整えており、訪問看護ステーションを併設してチームで患者さんの生活全般を支えています。明医研グループは「温かく信頼に足る医療」を理念として掲げ、地域の中で気軽に相談できる身近なかかりつけ医であり続けることを目指しています。スタッフ一同、患者さんの最善を考えながら日々協力し合い、診療にあたっています。

地域医療にご関心のある方や、ワークライフバランスを大切にしたい方のご応募をお待ちしております。ぜひご連絡ください。

チーム医療

当法人では、複数の医師が診断や治療について相互に意見を交換し、最適な診療方針を決定しています。これにより、医師は自身の専門性を活かしながら、さまざまな視点からのアプローチを学ぶ機会が得られます。日々のカンファレンスを通じて、他の医師の経験や知識を共有し、スキルアップを図る環境が整っています。

さいたま市内において、ハーモニークリニック(緑区)とデュエット内科クリニック(南区)を運営しており、夜間のコール体制、カンファレンス、勉強会など、医師同士の密なコミュニケーションを通じて連携しながら医療を提供しています。さらに、両クリニックには24時間対応の訪問看護ステーションを併設しており、ハーモニークリニックにはヘルパーステーションも併設しています。これにより、在宅医療において必要な情報共有がスムーズに行え、チーム全体で一貫したサポートを患者さんに提供できる体制が整っています。

また、地域の協力薬局や医療機関、その他の関係機関との密接な連携を通じて、地域包括ケアシステムを構成する一員としての経験を積むことができます。このように診療や多様な経験の中で、地域医療に貢献しながら、自身のスキルアップをしていくことができます。

教育

当法人では、大学病院や基幹病院の研修では得られない、診療所ならではの診療経験を積むことができます。患者さんの日常生活や地域特性に即した医療を学び、外来診療と在宅医療を通じて幅広い症例に触れることができます。

当法人には、臨床実績が豊富な医師や、日本内科学会、日本プライマリ・ケア連合学会、日本専門医機構総合診療部門、日本在宅医療連合学会などの学会の指導医・特任指導医が多く在籍しています。ハーモニークリニックの院長である中井秀一医師は、日本プライマリ・ケア連合学会埼玉県支部の支部長を務めており、プライマリ・ケアの実務経験習得においても、充実したサポートを受けることができます。

さらに、自治医科大学附属さいたま医療センター、さいたま市民医療センターと提携し、日本プライマリ・ケア連合学会「新家庭医療専門医」や日本専門医機構「総合診療専門医」等の資格取得のためのプログラム協力関連施設として登録されています。初期研修医の地域研修施設として、さいたま市立病院、慶應義塾大学病院、埼玉医科大学病院などからの臨床研修医の受け入れを行っています。
また、医学部・看護学部・薬学部などからの研修生や見学者の受け入れ実績も豊富で、多様な学びの機会を提供しています。

マネジメント

当法人は、地域医療の分野で先進的な取り組みを行う医療機関を視察し、優れたクリニカルスキルやマネジメントスキルについて、他の医療機関と情報交換・意見交換を実施しています。過去には、幅広い視野で知識や技術を得るため、海外での視察・研修も行いました。また、プライマリ・ケアや在宅医療で活躍されている先生方との交流を深める機会を設けるほか、地域医療や在宅医療に関心を持つ医師の見学も随時受け入れています。

当クリニックでは、将来的に開業を目指す先生方が、必要な知識や経験を学べる環境を提供しています。実際に、当クリニックでのマネジメント経験を活かし、開業に至った先生もいらっしゃいます。

<過去の実績>

(米国) カリフォルニア州オークランド・サンフランシスコ視察ツアー
Hayward Wellness Center、Family and Community Medicine Dept, UCSF などを訪問
(北海道) 北海道家庭医療センター更別診療所 視察
(愛媛県) 医療法人ゆうの森 たんぽぽクリニック 視察
(滋賀県) 滋賀家庭医療学センター 視察
(東京都) おうちにかえろう。病院 視察

ワークライフスタイル

当法人は、現代の医師にとって理想的な職場環境を提供していると自負しています。仕事と家庭の両立を支援し、柔軟な勤務形態を整えています。チームでの勤務により、休暇や夜間休日当番を分担し、ゴールデンウィークや夏季休暇、年末年始などの長期休暇も、医師同士の協力関係のもと調整が可能です。

平日夕方のカンファレンスが終了する18時頃には、多くの医師が帰宅し、勤務後の時間を有効に活用しています。個人の学習や家族との時間も大切にできるため、仕事とプライベートのバランスがしっかり取れます。

1日のスケジュール<例>

9:00訪問診療
  • 個宅や施設などの訪問診療に出発
11:30帰院
  • 帰院後本日の訪問診療についてのサマリー・申し送りを記載
12:50在宅患者カンファレンス
  • 週1回重症患者さんの治療方針の確認と申し送り、在宅新患の報告と診療方針の確認
  • 週末に向け、医師だけでなく、在宅医療に関わる訪問看護・薬剤師皆で方針を確認

昼休み

14:00外来診療
  • 慢性疾患の予約患者さんや予約以外の様々な症状の患者さんの診察
  • 地域の患者さんの様々な健康問題について対応
17:20外来診療終了
17:40カンファレンス
  • 1日の診療 (外来・訪問診療・往診) を通して、検討事項を持ち寄り協議、診療上の困ったことをチームで共有し、議論して解決につなげます

ドクターインタビュー

ハーモニークリニック
山本翔一医師(常勤・2024年入職)

これまでの経歴についてお聞かせください。

さいたま市立病院で初期研修、母校の慶應義塾大学で内科、循環器内科と進み、修練の半ばで医局を退局してしまいましたが、東京都内の江東病院という中規模病院で順天堂大学循環器内科客員教授の田宮先生に目をかけていただき、一般的な循環器内科の判断処置を身につけました

明医研を選んだ理由を教えてください。

高齢化により多疾患併存の患者さんが、また核家族化などで社会的にフレイルな患者さんが増え、入院したきっかけとなった疾患の急性期を脱してもなかなか受け入れ先がない現実を痛感していました。
結婚、長男の誕生と人生の転機が訪れ、地域の診療所を継承する可能性が出てきました。そこで初期研修の地域医療プログラムで伺ったことがあったハーモニークリニックの面接を縁あって受けることになり、理事長の市川先生と院長の中井先生のお人柄に安心したことと、プライマリケアの外来と訪問診療のいずれも経験できることから選ばせていただきました。

明医研の雰囲気についてどう感じていますか?

コミュニケーションを重視する現場で、よく相談しながら風通しの良い診療が出来ると感じています。私は運動会活動が盛んな開成高校で青春時代を過ごしまして、なんでも和気藹々とやりたい気質ですので合っていると思います。逆にあまり他人の干渉を受けたくない先生、黙々と診療したい先生は向いていないかもしれません。

明医研のスタッフの特徴を教えてください。

一人一人が職種の役割をよく体得していて、誠実に仕事をしていると思います。急性期病院や大学病院では、ともすればいかにあくせくと働いているかが評価基準になりがちですが、プライマリケアや緩和ケアの場ではじっくりと、時にはユーモアを交えて患者さんに安心していただくこと、EBMを振りかざさず多少のことには目をつぶって特例対応することも大切なので、心にゆとりを持っておく必要があります。決して暇ではないですが、慈しみの気持ちを絶やさずに勤務できるように配慮されていると思います。

今後、明医研でどのような取り組みをしていきたいと考えていますか?

高度医療を必要とする患者さんの適切なトリアージ、自身が専攻した循環器分野を中心に大病院と遜色ないインフォームドコンセント、スタッフの方々との適切な連携、悪性疾患を中心とする緩和ケアの習得を目標にして、少しでも多くの患者さんが住み慣れたところで安楽に過ごせるお手伝いをしていきたいです。もちろん、自身の家族と仲良く楽しく暮らすことも大切にしながらですが。

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