なるほど健康講座

『慢性硬膜下血腫』

ハーモニークリニック 医局長 大和康彦

 

慢性硬膜下血腫は、日常の診療の中で次のようなかたちで見つかります。

「数日前より何だか様子がおかしい」と付き添いのご家族が、高齢の患者さんを連れて相談に来ました。何がおかしいのかというと、何となくふらつきやすくなって、数日前から呆けてしまって。脳卒中のように突然始まったというよりは、数日前からゆっくりと始まったようです。よく話を伺うと、1ヶ月ほど前に転んで少し頭を怪我したことがあるとのこと。患者さんに詳細を伺っても、あまりよく覚えていないようです。

これが典型的な慢性硬膜下血腫の症状と、診療現場でのやりとりです。頭部CT検査では図のような「脳の表面を覆う三日月型の血腫」を認め、慢性硬膜下血腫と診断し、治療の相談となります。

慢性硬膜下血腫とは、頭部外傷後慢性期(通常3週間~数ヶ月後)に頭部の頭蓋骨の下にある脳を覆っている硬膜と脳との隙間に血(血腫)が貯まる病気です。高齢で男性に多くみられ、頭部外傷があったかどうか不明なケースも10~30%に存在します。発症に影響する因子として、①大酒家、②脳に萎縮がある、③出血傾向や血液をサラサラにする種類の薬を内服している、④透析中、などが挙げられます。

血腫が脳を圧迫することで様々な症状がみられます。片側の麻痺やしびれ、痙攣、言葉が上手く話せない、認知症や意欲低下などの精神障害、失禁、頭痛や嘔吐などの頭蓋内圧亢進症状などが主な症状です。認知症だけで発症する慢性硬膜下血腫もあり、比較的急に呆け症状が見られた場合には、慢性硬膜下血腫を疑うことが重要です。

小さな慢性硬膜下血腫では、血腫内の血液が自然に吸収されるため、多くは治療の必要がありません。大きな血腫で様々な症状が出ている場合には、穿頭血腫洗浄ドレナージ術という局所麻酔で行える手術により、症状をもたらしている脳の圧迫はすぐに解除でき、9割は治癒に向かいます。しかし術後に血腫が再貯留し、再度手術が必要になる例もあります。

高齢化社会の中で、慢性硬膜下血腫症例は増加傾向にあります。正しく診断がなされ、タイミングを逸することなく治療が行われれば完治する予後のよい疾患です。ハーモニークリニック・デュエット内科クリニックともに、症状の確認や頭部CT検査による評価をすることができますので、ご心配な方はお気軽にご相談下さい。

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