なるほど健康講座

『神経内科診療と在宅医療』

神経内科
岡安裕之 先生

神経内科は、脳、脊髄、神経、筋肉が関係する疾患を診る診療科です。取り扱う疾患は頭痛、めまい、てんかんといった機能性の疾患から脳卒中、認知症やパーキンソン病に代表される神経難病まで多様です。
患者さんの訴えた部分だけを診るのではなく全身を診て、病気の部位、性質を明らかにして診断する必要があります。手がしびれると患者さんが訴えたとしても、原因が手にあるとは限らず、脳卒中が原因であったり、頚椎に問題があったりする可能性もあります。診察、検査の結果から脳外科や整形外科の疾患と判り診察をお願いすることもあります。耳鼻科、眼科、泌尿器科、心療内科などの先生とも協同で患者さんを診ることも少なくなく、神経内科と関係しない診療科はないとも言えます。
後遺症を残した脳卒中や、徐々に症状が進行し障害の重くなる神経難病などの患者さんでは慣れた環境での療養を希望されることも多く、在宅医療の重要さが増しています。在宅療養という選択肢について情報提供がなされ、在宅療養の検討が始まるわけですが、患者さんだけでなく、家族の方にも十分正確な情報が伝えられることが重要になってきます。家族の義務感で、または元の主治医から強く勧められたなどで、よく納得しないまま在宅療養が始まり、家族の心身への負担が大きくなり過ぎないよう、医療者の側として、療養が始まってからも家族の状態に注意して、必要な時には家人の休息目的の入院を提案するなどの配慮が、在宅療養を続けるために必要です。
特に徐々に介護量が増えていく神経難病では在宅療養開始時とは違っていつの間にか家族の負担が増えてきていないか、増えてきているのであれば軽減する方策が提供できないかということを絶えず考えておく必要があります。ハーモニークリニックでは訪問看護師の方々と協力して今までも良質の在宅医療の提供をしてきましたが、今後も家族にも十分目を向けた在宅医療を続けるために、神経内科医としての経験がお役にたつように頑張ります。

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