なるほど健康講座

『多職種連携(IPW)とその教育(IPE)』

大和康彦医局長

皆さんが外来を受診される時、受付→診療→採血→画像検査→結果説明→会計→院外薬局など、多くの人や部署が関わっています。同様に在宅医療を受ける方も、在宅主治医・院内看護師・訪問看護ステーション・地域調剤薬局・ケアマネージャー・リハビリテーション(理学療法士や作業療法士)・介護支援サービス・病院・後方支援病院など、実に多くの人や部署が関わります。
ではそこに関わる者が、他の領域の専門性についてどれほど教育を受けてきたかというと、残念ながら今までは非常に少ない、特に医師の場合は皆無なのが現状で、現場に出てから少しずつ知るのみでした。今ではそのような反省も踏まえ、卒前教育の中に新しい取り組みが始まりつつあります。
 多職種連携(以下IPW)とは、「複数の領域の専門職者が、それぞれの技術と知識を提供しあい、相互に作用しつつ、共通の目標の達成を患者・利用者とともに目指す協働した活動」、専門職連携教育(以下IPE)とは、「複数の領域の専門職者が連携およびケアの質を改善するために、同じ場所でともに学び、お互いで学び合いながら、お互いのことを学ぶこと」と定義されています。
 近年、医療機関や教育機関において、IPWやIPEが論じられることが多くなってきました。ただし教育機関においては、養成対象職種の専門教育に特化しているために、学生はその職種の視点に縛られやすい傾向にあり、複数の大学・学部が連携し、学生の時期から様々な医療現場での多職種連携を学ぶ実習が始まりつつあります。
 今回、埼玉県立大学(越谷市)が中心となってすすめるIPWとIPEの事業に、18年間地域に密着した医療を実践していく中で、より高度な「医療チーム」を築いてきた明医研も選ばれ、在宅医療部門を中心として関わることになりました。
 まず第1弾として、8月27日~30日に埼玉県立大学看護学科・埼玉医科大学医学科・城西大学医療栄養学科・日本工業大学生活環境デザイン学科から5名の大学生と3名の指導教官に、IPEの実践の場として来て頂くこととなりました。患者・利用者の方々には、大勢の学生が関わることでご不自由をおかけいたしますが、今後ともご理解とご協力の程を宜しくお願い致します。

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