なるほど健康講座

『いつまでも健康でいるには』

デュエット内科クリニック
院長 阿部直

ヨーグルト、チョコレート、赤ワインなど健康に良いとされる食品は数多くあるが、これを食べていれば健康で長生きできるというような万能食品はなく、バランスよく適量を食べることが大切である。ここでは、食品に限らず、健康で長生きする方法、しかも医学的に明らかにされていることを紹介したい。

健康で長生きするための生活習慣:ヨーロッパで45~79歳の男女2万人あまりを対象に平均11年間観察した研究がある。この研究では4つの生活習慣に着目した。すなわち、①喫煙していない、②運動している、③酒類を多飲していない(ビールならば1日平均中瓶1本まで、日本酒ならば1合弱)、④野菜、果物を食べている。これらの良い生活習慣を数多く持っている人ほど、死亡率が低く、長生きすることが明らかにされた。また、これらの4つの良い生活習慣を持っている人に比べ、いずれの生活習慣も持っていない人の死亡率は4.0倍で、寿命に換算して14年間短くなることが報告された(PloS Medicine 2008)。
認知症になりにくい生活習慣:認知症の予防には、体重・血糖・血圧・脂質(コレステロールや中性脂肪)のコントロール、禁煙、節酒、健康的な食生活、運動に加えて、知的刺激に満ちた活動を行い、社会とのかかわりを持ち続けることが重要であることが知られている。

死の五重奏:心筋梗塞・脳卒中などの血管系の病気に対する危険因子として、5つの因子が知られている。①コレステロールや中性脂肪が高いなどの高脂血症、②高血圧、③肥満、④糖尿病、の4つの生活習慣病と⑤喫煙である。これらの5つの因子は、死へのメロディを奏でる、死の五重奏と言われ、これらの因子の数が増えるに従い、心筋梗塞、脳卒中になる確率が高くなる。これらの因子のすべては、生活習慣の改善や治療により、除去、あるいはコントロールできる。

寿命と健康寿命:日本人の平均寿命は男性79.5歳、女性86.3歳である。人生の終末期には、体が弱って介護を受けての生活、あるいは、病気等で寝たきりとなることが多い。介護を受けずに、生まれてから健康的に生きられる期間を健康寿命と呼び年齢で表す。日本人の健康寿命は平均寿命よりずっと短く、男性70.4歳、女性73.6歳である。寿命と健康寿命の差が介護を受ける平均の期間である。これは、男性では、9.2年間、女性では12.7年間であり、男女とも約10年間と非常に長い。

まとめ:以上、生活習慣の改善と適切な治療により、健康寿命を延ばし、いつまでも健康でいたいものである。また、現在病気療養中の方は、さらなる病気の発生を防止できれば嬉しく思う。

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