「第6回 日本プライマリ・ケア連合学会関東甲信越ブロック地方会」が開催されました

2017年1119日(日)大宮ソニックシティで、第6回となる関東甲信越ブロック地方会が開催され、県内外から多くの日本プライマリ・ケア連合学会会員の先生方や医療関係者が参加されました。

・日 時:2017年11月19日(日)
・会 場:埼玉県 大宮ソニックシティ
・主 催:日本プライマリ・ケア連合学会埼玉県支部
・大会長:百村伸一先生(自治医科大学附属さいたま医療センター センター長)
・学会事務局:石田岳史先生(さいたま市民医療センター
・問合せ先:第6回日本プライマリ・ケア連合学会 関東甲信越ブロック地方会 運営準備室
詳細 http://naika3.wixsite.com/primary-care

今回は「高価値なプライマリ・ケアを目指して」をメインテーマに多岐にわたるプログラムが実施されました。これからプライマリ・ケアの重要性がますます高まってゆく中で従来の手法も含めて、より価値を高めていくような医療を目指すという当大会のメッセージに沿って、参加者にとって関心が高い様々なテーマのシンポジウム・ワークショップが企画されました。

明医研中根晴幸理事長は当学会の埼玉県代表世話人を務めています。併せて明医研の医師(市川聡子医師、中井秀一医師、松林洋志医師他)がプログラム委員として参画し、シンポジウム、ワークショップを企画・主催しました。

会長講演

「心不全パンデミックにどう対応するか?」演者:百村伸一先生 座長:医療法人明医研中根晴幸理事長

会長講演を行う百村伸一先生

座長を務める明医研中根晴幸理事長

我が国の死亡者数の第1位は悪性腫瘍。しかし、脳血管障害と心臓病を合わせると死亡者数は悪性腫瘍に匹敵しています。そして、心臓病のうち最も多い疾患は「心不全」となっています。我が国では高齢化の進展に伴い新規発症患者数も増加しており、現在、100万人規模とされる慢性心不全患者が、2025年には120万人を超えると言われています(「心不全パンデミック」と呼ばれています)。

会長講演では、心不全パンデミック時代を迎えつつある我が国の心不全診療の現状と今後の課題が議論されました。ここでは「多職種が介入した包括的なアプローチを行う包括的心不全管理プログラムの作成と実践」「在宅医療も巻き込んだシームレスな診療体制の確立」が重要であることが再確認されました。

 

 

ワークショップ1

今さら聞けない?!ポートフォリオの作成と指導―苦手領域を得意にチェンジしたい―

コーディネーター(司会):医療法人明医研ハーモニークリニック中井秀一医局長

 昨年の関東甲信ブロック地方会のポートフォリオワークショップのアンケートによると、参加した指導医から、「ポートフォリオ作成指導を受けたことがない」「添削レクチャーを受けたことがない」「ポートフォリオ指導に困っている」という結果となっていました。また、専攻医のアンケートでは、参加者のほぼ全員がポートフォリオの研修にご苦労されているとの回答があり、症例・事例選択が困難となっている現状が明らかとなりました。

ファシリテーターを務める市川聡子医師と有馬聖永医師。他のグループにも明医研の医師が参加し議論を盛り上げました

実際のポートフォリオ作成をイメージして指導医・専攻医を組み合わせたグループ編成でディスカッションが行われました。

当ワークショップは、上記アンケート結果を踏まえ、基本的なポートフォリオの書き方を学び、そのうえで指導に何が必要かを明らかにし、より価値あるポートフォリオの作成と指導に繋げることを目標としています。未来の指導医を目指す専攻医とベテラン指導医が広い地域より多数参加されディスカッションが行われました(明医研からもコーディネーターの中井秀一医師の他、ファシリテーターとして、大和康彦医師、市川聡子医師、松林洋志医師、有馬聖永医師が参加しました)。

シンポジウム2

地域が求め頼りになる在宅医療とは 座長:中根晴幸

講演内容とシンポジスト

・「変化する都市環境の中での在宅医療」新宿ヒロクリニック 英裕雄先生

・「在宅医療における情報共有システム(ICT)の役割と課題」新横浜在宅クリニック 城谷典保先生

・「地域に根差している(と思いたい)他職種連携の実践」つるかめ診療所 鶴岡裕子先生 他

 

1994年に在宅が医療の場として認可され、以来今日までの長期間、全国に置いて様々な経験が積まれてきました。本日はプライマリ・ケア領域において先進的に取り組まれてきた5名のシンポジストが登壇し、それぞれがこれまで実践してきたなかで、在宅医療が進化する医療の一部分としてどのように必要であるかといった点、地域包括ケアシステムの中で具体的に機能し支えている在宅医療という2つの側面から講演と議論が行われました。座長から各講師たちが思う在宅医療のキーワードは?という問いかけに対して「チーム診療・多職種連携」「地域性に合わせた在宅医療の在り方」「ICT導入とデータの活用による更なる健康管理」「地域での協力の輪を広げていくこと」という回答が寄せられ、高価値のプライマリ・ケア(High-value Primary Care)につながるディスカッションとなりました。

ワークショップ7

 ポリファーマシーにIPW(多職種連携)の力を!コーディネーター(司会):医療法人明医研ハーモニークリニック松林洋志医師

 自分一人の力だけではなかなか解決が困難な問題である「ポリファーマシー」。

 日々の診療の中でポリファーマシーに悩んでいる多職種(医師、薬剤師、看護師、その他の関係職種)の方々のためのワークショップです。まずオープニングレクチャーとして独立行政法人国立病院機構栃木医療センター総合内科矢吹拓先生よりポリファーマシーの概要(定義・原因・問題点等)を講義いただき、基礎知識を取り入れたところでワークショップがスタートしました。

 今回グループ討議で取り扱うのは処方箋が10錠を超える事例。この一例を共有し、解決するためのアクションプランの作成まで行われました。当日は各ブループに明医研の看護職も参加し、日ごろの地域医療の実践の中で感じている課題や気づきなどを、参加された様々な職場の多職種により共有し、新たな視点を得る中で学びほぐす良質な時間となりました。

~明医研が主催する多職種連携ワークショップでまたお会いしましょう~

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