【2018研修医の受け入れについて】慶應義塾大学病院研修医 髙杉望先生

明医研では一年を通じて研修医、医学部生、看護学生等の研修受入れを行っています。

今般、以下の研修医の先生が明医研において1か月の研修を行われました。

ご所属 慶應義塾大学病院研修医 大学一貫コース(2年次)
お名前 髙杉望(たかすぎのぞみ)先生
研修期間 2018年11月26日~12月21日

明医研医局医師と髙杉先生を囲んで

<髙杉先生より研修感想を頂戴しました>

「明医研での研修を振り返って」慶應義塾大学病院 研修医 髙杉望先生 
■診療所も病院と同様に最新で質の高い医療を実践している■

私は大学入学直前から難病にかかって入院し、2年間休学して自宅療養をしたのち復学し今に至ります(現在も通院中)。そのような背景から、慢性期疾患や在宅療養は比較的身近なものですが、一方で、大学病院で高度医療を受けることが当たり前となっており、診療所をはじめとする地域医療の実情は十分把握していませんでした。
自身の病気発症の際の診療所での対応や周りの方の偏った印象などから「診療所では古い治療を妥協しながら行っている」という誤ったイメージを有していました。しかし、実際には、先生方がエビデンスに基づき医療を行い、最新の知見や患者さんにとってより適した選択となるよう日々の多職種連携等において議論を行い、より良い医療を実践している実態に触れ、我が国の「地域医療」に対するイメージが良い方向に一変しました。

■訪問サービスは多岐にわたり、また高度医療に対応している■
診療所には、訪問看護・居宅介護支援事業所・訪問介護ステーションが併設しており、診療に加え看護・介護・リハビリテーションが行われ、協力薬局における服薬指導が行われていました。在宅で利用できるサービスが多岐にわたり各サービスで提供されている質の高さに驚きました。私自身が療養生活で困っていたことや、将来どうなるのだろうと心配していることへの解決策が次々に見つかっていくような感覚があり、これなら患者さんも安心して日々を過ごして行けると感じました。

■社会資源の力は大きいが、介入困難な例もある■
もちろん、在宅医療の現場では、そう簡単にいかないことも多々あります。
例えばエレベーターの無い5階立てマンションに住んでいた私の祖父母の事例です。90歳を超えて自立した生活が難しくなっていたのですが、同居親族が他人を自宅に入れることを許さず、訪問サービスを利用できませんでした。親族の同居が解消されたあと、1階に引っ越し訪問介護やリハビリテーションを導入することができたのです。

最近では、祖父母の住環境が改善され、二人とも元気を取り戻しており、社会資源の力を感じると同時に、早期介入ができていればという気持ちになりました。
各家庭において様々な理由があり社会資源を受けていない人たちの多くは、実際には最も支援を必要としている人たちであることが多いと思います。そういった方々にどうやって医療を届けていくかを今後も考えていきたいと思います。

■在宅相談について詳しく知らない人は相談にもたどり着けない■
ちなみに(その1)で登場する祖父は、2年前に大病を患い通院治療中ですが、今年に入って明医研のデュエット内科クリニックの在宅相談を受ける運びとなりました。
これまで在宅医療の存在は知っていましたが、興味はあるけれど具体的なイメージがつかず、何となく不安だったり億劫だったりして相談までの一歩を踏み出せない患者さん(特にインターネットを使わない高齢者)は少なくないでことでしょう。高齢者がアクセスできる場所に、最低限でもわかりやすい情報を提供する工夫も必要だと考えさせられました。

これから大学病院での病棟研修に戻りますが、在宅ニーズのある患者さんを見逃さず、興味のある方には訪問サービスについて医師として分かりやすく説明し、在宅医療の具体的なイメージを持っていただけるよう頑張りたいと思います。

■働き方、働く場所はいろいろある■
地域医療の話からは少し逸脱しますが、明医研の研修を踏まえ、「働く」ということについても気付きを得る機会となりました。明医研はとても雰囲気のよい、風通しの良い職場で、医師をはじめスタッフのみなさんが楽しそうに働いている姿が印象的でした。お互いの得意なことを発信し、弱いところは補い合っていける文化とシステムがあるのはとても素敵だと思いました。

私は、持病のため他の研修医と同じように働くことができないので、休みなく働き続けている先輩や同期の医師たちに囲まれていると、自信がなくなりがちなのですが、明医研で過ごした1か月で、色々な働き方があるのだと視野が広がりました。机上の空論と諦観していた「患者さんの幸せに欠かせないのは、主治医自身の幸せ」「人生経験を積んだ主治医の存在そのものが診療の最大の武器」という言葉に、真実味を感じた瞬間が多くあり、医療の本質を見直すことが出来ました。

私も明医研の医師のように、患者さんの日常に共感することができ、バランスの良い医療者となることを目指したいと思います。

最後に、地元さいたまで育ち、この地に愛着をもっているので、今回の実習で地元の良いところを知ることが出来とてもハッピーでしたし、もっと知りたいという気持ちになりました。
また、さいたまの医療に関わる機会があると思いますので、その時はどうぞよろしくお願いいたします。

4週間本当にありがとうございました。(了)

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明医研は、慶應義塾大学病院の初期臨床研修プログラムの地域医療研修医療機関に登録されています。

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