第4回 地域包括ケア研修会が開催されました

■浦和医師会有志による「地域に即した地域包括ケアづくりのための学びの場」

 地域に住む方々が健康で安心して暮らしていけるような地域包括ケアシステムを実現するためには、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、介護士、リハビリテーション療法士、ケアマネジャー、シニアサポートセンターや行政など、多職種の相互理解と密接な関係づくりが欠かせません。

 さいたま市緑区では、浦和医師会10班の有志が中心となり、地域包括ケアに関わる多職種の学びの場として「地域包括ケア基礎勉強会(医療ケアネットみどり)」を平成26年から3回にわたり開催してきました。明医研はその一員として運営を支援しています。

 職種を問わず理解が求められる専門知識を講義により確認し、実際に緑区で生じた多職種連携の困難事例をワールド・カフェ形式により検討してきました。事例検討では、さまざまな職種の参加者が対等な立場で発言し、問題点の抽出や、今後の連携にも役立つ解決策の提案がなされました。この学びの場を通じて、それぞれの職種が持つ視点や専門性の理解が深まり、また日々の仕事の上で役立つ「顔の見える関係」がつくられてきました。

■緑区行政が中心となった地域包括ケア推進の取り組みへと昇華

 「医療ケアネットみどり」の参加者は回を重ねるごと増え、第3回では70名の多職種が参加するに至りました。これは、「医療ケアネットみどり」が掲げてきた「地域に即した地域包括ケアづくり」に対する多職種の方々の関心の高さや、切実な想いを表しているものと考えられます。 

 この「医療ケアネットみどり」の取り組みを拡大し、緑区全体における地域包括ケアの推進を加速させるため、緑区行政が中心となり「地域に即した地域包括ケアづくり」を進めることとなりました。本年度からは、さいたま市緑区高齢介護課が中心となり、「地域包括ケア研修会」と名称を変え推進していきます。

 3月25 日(土)に開催された第4回地域包括ケア研修会では、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、リハビリテーション療法士、ケアマネジャー、シニアサポートセンター、介護福祉士、学識経験者、行政など94名の参加がありました。明医研からも7名の医師、10名の医療介護専門職が参加し、地域のみなさんとの交流を図ることができました。

■開催風景より

 研修会前半では、本会の立ち上げ経緯の説明や、緑区における地域包括ケアの現状、期待される点などについて、緑区役所高齢介護課石﨑博幸課長、医療ケアネットみどりメンバー中根晴幸医師からの開会挨拶がありました。その後、「フレイルについて」(医療法人明医研市川聡子医師)、「いきいき百歳体操」(きんもくせい宇野潤理学療法士)の講義がありました。

緑区石﨑課長(第4回地域包括ケア研修会) 明医研中根理事長ご挨拶(医療ケアネットみどり)

さいたま市緑区役所 

高齢介護課 石﨑博幸課長ご挨拶

医療ケアネットみどり

中根晴幸医師ご挨拶

市川聡子医師(フレイルについて) いきいき100歳体操

「フレイルについて」を講演する

医療法人明医研 市川聡子医師

「いきいき百歳体操」を講演する

きんもくせい 宇野潤理学療法士


■ワールド・カフェ形式による事例討論の実施(医療法人明医研 中井秀一医局長)

テーマ:「複雑な健康問題を多数抱えた在宅患者を多職種で支えている事例」

 研修会後半では事例検討が行われました。

 みなさんは「ワールド・カフェ」をご存知でしょうか?ワールド・カフェはリラックスした雰囲気で創造的な話し合いを行うための手法であり、アニータ・ブラウン(Juanita Brown)氏とデイビッド・アイザックス(David Isaacs)氏により開発・提唱されました。ワールド・カフェでは、通常のグループディスカッションと異なり、議論の途中で一部のメンバー(テーブル・ホスト)を残し、その他のメンバーは「旅人」と呼ばれて他のテーブルに移動します。グループ討議中にメンバー構成を変えながら話し合いを続け、まるで参加者全員が話し合っているような効果が得られる特徴があります。緑区の地域包括ケアに携わる全職種がより良い関係を築き、そして学びの効果が高いことから、前回に引き続き今回の研修会でも、この手法が取り入れられました。

中井秀一医局長(第4回地域包括ケア研修会) 第4回地域包括ケア研修会(ワールド・カフェ)

明医研中井秀一医師が

ホストを務めました

94名の参加による

ワールド・カフェ

 今回設定したテーマについて、住み慣れた地域で最後まで自分らしい暮らしが送れるためにできることを多職種で活発に議論しました。テーブル・ホスト以外の参加者は、最初のテーブルで議論をした後、「旅人」として他のテーブルに一旦移動します。移動先のテーブルで出会ったメンバーやテーブル・ホストと議論する中で新たな気付きや着想を得て、最終的に元のテーブルに戻ります。ワールド・カフェの最後には、テーブルごとにテーマの問題点や解決策が発表されました。

 今回で通算4回目の開催となった地域包括ケア研修会。受講者からも同じ地域で顔の見える医療職の強い結びつきの機会を引き続き開催してほしいとの声が寄せられました。引き続き、私たちも積極的な参画をして参ります。

第4回地域包括ケア研修会

日時 平成29325() 14001630
場所 さいたま市緑区役所 3階大会議室
主催 さいたま市緑区役所 健康福祉部 高齢介護課
参加者 さいたま市緑区で地域包括ケアを実践する医療介護関係者

明医研Facebookにおいても明医研の各取り組みの写真を多数ご紹介しています。

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